軸があっても、迷う
組織や仕事をよりよくしようとしている人と話していると、
すぐには答えの出ない話になることがあります。
こちらにも理由がある。
あちらにも理由がある。
もう少し情報があれば判断できそうなのに、
その情報がそろう頃には、タイミングを逃してしまうかもしれない。
経営に関わる人も、組織の中で何かを任されている人も、
そんな状況で次の一歩を選んでいます。
軸があれば、迷わないのか
大切にしたいことがはっきりしている。
組織として目指す方向もある。
それなら、迷わず進めそうです。
けれど実際には、軸があっても迷います。
現場で働く人のこと。
これまで積み重ねてきた経緯。
数字から見えていることと、数字だけでは見えてこないこと。
今を優先するのか。
少し先を見るのか。
変えるのか。
今は変えないのか。
考える材料が増えるほど、
かえって答えを出すのが難しくなります。
私は、そういう迷いを何度も目にしてきました。
迷うことと、軸がないことは、同じではありません。
軸は、答えではない
そもそも軸は、正解を教えてくれるものではないのでしょう。
未来が見えているわけではありませんし、
同じ判断でも、置かれた状況によって結果は変わります。
それでも、自分たちは何を大切にしたかったのか。
何のために、この方向へ進もうとしているのか。
そこへ戻って考えることはできます。
霧の中を歩くとき、遠くの景色までは見えなくても、
自分がどちらを向いているのかは確かめられる。
軸は、迷いをなくすためのものではなく、
迷ったときに戻り、
何を大切にして進むのかを確かめるためのものなのかもしれません。
決めたあとに、見えてくるもの
考えて、決めた。
けれど、仕事では、それで終わるとは限りません。
動き始めてから、初めて見えてくることがあるからです。
システムをつくる仕事をしていた頃も、
人や組織の変化に関わるようになった今も、
この点はあまり変わらない気がします。
事前にどれだけ考えても、
動かしてみなければわからないことがある。
人が関われば、なおさらです。
決めたことを貫くことが必要な場面もあれば、
途中で少し方向を変えた方がよいこともある。
その見極めにも、また迷う。
そんなときにも、判断のよりどころがあることは、
案外大きいのではないでしょうか。
霧の中で、決めている
仕事をしていると、
組織のこれからや、誰かの仕事に関わることを
決めなければならない人たちに出会います。
話を聞いていると、その判断の後ろに、
外からは見えないいくつもの事情があることに気づきます。
本人にも、まだ見通せないことがあるのでしょう。
それでも、どこかでは決めなくてはいけない。
霧が晴れるまで待てるとは限りません。
だから、いま見えているものを確かめる。
自分たちが大切にしたいものに戻ってみる。
そして、一歩進む。
進んだところから、また景色を見る。
私は、そんなふうに仕事や組織を前へ進めている人たちを、
これまで何人も見てきました。
迷わず進んでいるように見える人も、
本当は、何度も立ち止まっているのかもしれません。
軸があっても、迷う。
それでも、自分たちなりに確かめながら進んでいる。
その歩みを、私はこれからも大切に見ていたいと思います。