問題は、最初から問題の形をしていない
売上が下がっている。
残業が増えている。
ミスが多い。
業務が属人化している。
組織の中では、こうしたことが
「問題」として語られることがあります。
けれど、目の前に見えているものは、
本当にそのまま「問題」なのでしょうか。
それはまだ、問題と呼ぶ前に、
もう少しほどいてみる必要のある現象なのかもしれません。
現象のまま、解こうとしていないか
残業が増えているから、業務を効率化する。
ミスが多いから、チェックリストを作る。
属人化しているから、マニュアルを整備する。
どれも、一見すると自然な対応に見えます。
実際に、それで改善することもあります。
すぐに手を打つことが必要な場面もあります。
ただ、現象をそのまま問題として扱うと、
打ち手がずれてしまうことがあります。
たとえば、同じ「残業が増えている」という状態でも、
背景は一つではありません。
業務量が多いのか。
判断待ちが多いのか。
手戻りが多いのか。
一部の人に仕事が集中しているのか。
目的や優先順位が曖昧なのか。
背景が違えば、見るべきものも、
取るべき打ち手も変わります。
問題として、どう見立てるか
データを見ることは大切です。
ただし、何を見るかは、
問題をどう見立てるかによって変わります。
残業時間を見るのか。
業務ごとの作業時間を見るのか。
手戻りの件数を見るのか。
承認や確認にかかる時間を見るのか。
担当者ごとの偏りを見るのか。
どのデータを見るかは、
何を問題として捉えるかによって変わります。
そして、見るべきものは、数字だけとは限りません。
現場の声。
作業の流れ。
判断が止まる場面。
人によって解釈が分かれる言葉。
そうしたものの中にも、
問題を見立てる手がかりがあります。
「問題を解く」と言う前に、
まず、何が起きているのかをほどいてみる。
その時間が、
遠回りに見えて、必要な一歩になることがあります。
推進する人に求められること
推進する人に求められるのは、
依頼された改善をそのまま進めることだけではありません。
目の前の現象を受け取り、
それがどのような問題なのかを見立てること。
そのために、数字を見たり、
現場の声を聞いたり、
業務の流れを確認したりすること。
その行き来の中で、
少しずつ問題の輪郭が見えてきます。
これは、ツールの使い方だけで完結する力ではありません。
現場を見て、問いを立て、関係者と話しながら、
少しずつ磨かれていく力なのだと思います。
見立てが、次の一手を変える
問題は、最初から問題の形をして
現れるわけではありません。
多くの場合、最初に見えているのは、
困りごとであり、違和感であり、
何かがうまくいっていないという感覚です。
そこから、何が起きているのかを見つめる。
どこで滞っているのかを考える。
何を変えればよいのかを探っていく。
そうしてはじめて、
取り組むべき問題が少しずつ見えてきます。
すぐに解こうとする前に、
少し立ち止まって、現象をほどいてみる。
見立てが変われば、
見るべきデータも、交わすべき対話も、
次の一手も変わります。
だからこそ、問題を急いで決めすぎないこと。
その余白が、
変化へ向かうための大切な入口になるのではないでしょうか。