その研修は、どこにつながっているのか

研修は、何かを変えるきっかけとして行われるものです。
けれど、そのきっかけは、どこにつながっているのでしょうか。

満足度の高い研修でも、時間が経つと、変化が見えなくなることがあります。
そのとき、私たちは何を見落としているのでしょうか。

研修のあとに残る空気

研修が終わると、会場にほっとした空気が流れます。

「勉強になりました」
「とても参考になりました」

研修の終わりに、そんな声を直接かけていただくこともあります。

けれど、その言葉が発せられたあとに、
どこか変化しない空気を感じることがあります。

あの場で生まれたはずの熱量が、現場へと動き出す気配が見えない。
そんな瞬間に立ち会うこともあります。

その言葉の先に

ある研修の後、人事の方がこうおっしゃいました。

「とても良い内容でした。ぜひ、うちでも活かしていきたいです。」

その言葉には、確かな手応えもにじんでいました。

けれど、どう活かすのか。
誰が、どのように、続けていくのか。

そこまでは、まだ描かれていないように感じられました。

点になるとき

研修の効果は、
「事前」「当日」「事後」という流れの中で、少しずつ形づくられていきます。

けれど、それ以前に。

その研修は、
組織のどの目的につながっているのでしょうか。
目指している姿と、どのようにつながっているのでしょうか。

研修が「点」になってしまうとき、そこには、つながりの不在があります。

当日は充実している。
けれど、その前後は設計されていない。

さらに、組織としてどこへ向かおうとしているのかが、
受講者に十分に共有されていない。

目的が抽象的なまま語られ、上司の関わりがなく、
振り返りの場も用意されない。

学びは、受講者個人の努力に委ねられます。

それは、本当に受講者の問題なのでしょうか。

ほんの少しの違い

一方で、ゆっくりと変化が続いていく組織もあります。
特別な仕組みが整っているわけではありません。

ただ、研修を「単発の学び」ではなく、
「組織の目指す方向につながる一部」として位置づけています。

なぜ今これを行うのか。
それは、どんな未来につながっているのか。

そのうえで、
上司が「やってみた?」と一言、声をかける。
小さな実践を歓迎する。
うまくいかなくても、すぐに評価しない。

ほんの少しだけ、関わり方が違うのです。

研修は、知識を受け取る場ではなく、問いを持ち帰る場なのかもしれません。

どう扱うか

研修を選ぶことは、大切です。

けれどそれ以上に、
その研修が、組織のどこにつながっているのか。
そこが言葉になっているかどうか。

そして、その学びを、どう迎え、どう現場へ送り出すのか。

そこに目を向けたとき、
研修は「イベント」ではなく、組織の歩みの一部になります。

本当に足りないのは、内容なのでしょうか。
それとも、つながりなのでしょうか。

その問いが、静かに置かれているかどうか。
そこに違いがあるのかもしれません。


 

研修を選ぶ前の視点については、こちらで触れています。

どの研修を選ぶか、その前に